賃貸契約の専門用語にはたくさん難しい用語がありますよね。
その中でも「敷金礼金」は賃貸契約を結ぶうえで必ず目にする専門用語となります。
賃貸契約の用語の中でも必ず覚えておきたい用語です。
今回は賃貸不動産会社に勤め、宅地建物取引士でもある筆者が、
「敷金礼金について知っておくべき5つのこと」
について詳しく解説をしていきます。
- 敷金礼金とは?
- 敷金礼金の相場
- 敷金礼金なしの初期費用の相場
- 敷金礼金なしの注意点・デメリット
- 敷金礼金は交渉できる?
おもに上記5つのポイントについて解説をしていきますので、この記事をお読みいただくことで敷金礼金についてしっかり理解することができますよ。
敷金礼金とは?
敷金礼金とは賃貸契約を結ぶ際に初期費用として支払う費用です。
敷金と礼金は名称が似ており、さらに「敷金礼金」と一括りにされることが多いため、
「敷金と礼金は同じような意味合いを持つお金」
とお考えになられる方も少なくないと思います。
しかし、敷金と礼金はそれぞれ意味合いが大きく異なる費用となります。
まずは敷金と礼金についてそれぞれ解説していきます。
敷金とは?
敷金とは、借主(入居者)が貸主(オーナー)に預けるお金です。
預けた敷金は退去費用などに充当され、残った敷金は退去後に返金されます。
あくまで敷金は貸主に一時的に預ける入居者のお金となりますので、入居者にとって無駄にならない費用です。
また、さらに詳しい敷金の内容については下記の詳細記事にて解説をしています。
参考にご覧ください。
礼金とは?
続いて礼金について解説をしていきます。
礼金とは、貸主(オーナー)に対して物件を借りるお礼金として支払うお金です。
ポイントは、
敷金礼金は返ってくるの?
上記でご説明したように、敷金に関しては、
退去費用など貸主に支払うべき費用を差し引いて残った金額は退去後に返金されます。
返金される金額に関しては、
- 預けた敷金の金額
- 退去費用などの金額
により異なりますが、多くのケースで預けた敷金の半分以下の返金となります。
礼金は返ってこない
敷金は返金されるお金となりますが、対照的に礼金は返金されることはありません。
あくまでも礼金は貸主に対してのお礼金となり、貸主の利益となるお金です。
つまり礼金は入居者にとって無駄なお金となりますので、「礼金なし」に越したことはありません。
まとめますと、
敷金礼金の相場
敷金礼金の相場が気になる方も多いと思います。
敷金と礼金の相場はそれぞれ賃料の1ヶ月分が相場となっています。
賃料の金額が高くなればなるほど敷金と礼金の金額も高くなりますので、高額な賃料の物件を検討される方は初期費用にも十分注意が必要です。
敷金礼金の消費税について
一般的な居住用のアパートマンションの場合、
敷金と礼金には消費税は掛かりません。
しかし、事業用(事務所や店舗)などの賃貸契約の場合は敷金礼金にも消費税が掛かります。
この点については下記の記事が参考になりますので、敷金礼金の消費税について詳しく知りたい方は参考にご覧ください。
敷金礼金1ヶ月の初期費用はいくらくらい掛かる?
「敷金礼金1ヶ月の初期費用はどのくらい掛かるんだろう?」
賃貸契約を結ぶうえで初期費用は必ず発生します。
賃貸契約の初期費用がどのくらいの金額になるのか気になる方も多いと思います。
敷金礼金それぞれ1ヶ月ずつ発生する物件の場合の初期費用は、
賃料の約5ヶ月分~6ヶ月分
となります。
賃貸契約の初期費用は敷金礼金だけではなく、
- 前家賃
- 仲介手数料
- 家賃保証会社費用
- 火災保険
- 鍵交換費用
など…多くの費用が発生していきます。
また、発生する初期費用の項目は物件や不動産会社によって大きく異なりますので、事前にどのくらいの初期費用が掛かるのか確認しておくと良いでしょう。
賃貸の初期費用の相場などについて詳しくまとめた下記の記事もございますので、参考にご覧ください。
敷金礼金なしの初期費用の相場
近年は「敷金礼金なし」の物件も多くなってきました。
敷金と礼金がない物件の方がやはり初期費用は安くなります。
敷金礼金がない物件の場合の初期費用の相場は、
賃料の4ヶ月分~5ヶ月分
となります。
敷金礼金なしの物件でも劇的に初期費用が安くなるわけではない
たとえ敷金礼金がない物件だったとしても、初期費用が劇的に安くなるわけではありません。
敷金がない物件の場合、多くの不動産会社の物件では、
退去時に発生する最低限のクリーニング費用を前払いする
ことが一般的となっています。
クリーニング費用の相場は4万円~6万円となるので、敷金がなくても結局クリーニング費用の4万円~6万円が初期費用で発生してきてしまいます。
しかし、礼金は違います。
礼金がない物件でも代わりに発生する費用はなく、礼金分そのまま初期費用が安くなります。
ですので初期費用を抑えたい場合は敷金ではなく礼金に着目して、
「礼金がない物件」
を選択することで初期費用を抑えることができます。
敷金礼金なしの注意点・デメリット
多くの物件で発生する敷金礼金。
その両方が発生しない物件であれば、確かに初期費用を安くすることができます。
しかし敷金礼金なしの物件にはいくつか
「注意点・デメリット」
が存在します。
- 家賃が相場よりも高い可能性がある
- 短期解約違約金が発生する可能性がある
- 人気がない物件の可能性がある
上記3点をそれぞれ詳しく解説していきます。
家賃が相場よりも高い可能性がある
敷金礼金なしとして初期費用を安くしている分、
月額の費用を高めて元を取ろうとする
悪知恵が働く不動産会社やオーナーも存在します。
「敷金礼金0円!初期費用安い!」
などのインパクトある言葉に騙されず、
- 敷金礼金なしだけどその他の初期費用は高くないか
- 月額の賃料や共益費は相場よりも高くないか
上記の点にも十分注意して契約を結ぶことが大切です。
短期解約違約金が発生する可能性がある
初期費用が安く、月額の賃料も相場どおり…
だけど短期解約違約金が付いていた…
なんてことも多いです。
短期解約違約金とは、不動産会社やオーナーから指定された期間内に解約(退去)してしまった際に発生する違約金のことです。
短期解約違約金の相場は、
1年未満の解約で家賃1ヶ月分の違約金
となっています。
しかし中には家賃2ヶ月分の違約金が設定されていたり、2年未満の解約で違約金が発生する契約内容もあります。
「初期費用を安くしている分、短期解約違約金を設定している」
という不動産会社は多いので、敷金礼金なしの物件では特に短期解約違約金に注意が必要です。
人気がない物件の可能性がある
敷金礼金なし物件を筆頭に、初期費用を相場よりも安くしている物件には何かしらの問題があることもあります。
- 周辺環境が悪い
- 日当たりが悪い
- 駅まで遠い
- 騒音トラブルがある
など…なかなか入居が決まらない人気がない物件だからこそ初期費用を安くしている。
なんてこともあります。
反対に考えれば、人気がある物件(優良物件)であれば敷金礼金が付いていても入居が決まりますからね…
もちろん、敷金礼金なしの物件でも普通に良い物件も多いので、しっかりと物件を見極める力も重要と言えます。
敷金礼金は交渉できる?
「敷金礼金が付いている物件で値引き交渉は可能なのかな?」
初期費用はなるべく抑えたいものです。
値引き交渉を通すことができれば、その分初期費用を安くすることができます。
結論としては、
敷金と礼金、どちらも値引き交渉は可能
となります。
しかし、そこには少し注意点もあります。
初期費用を安くしたいなら敷金よりも礼金交渉が良い
敷金礼金の値引き交渉を行うなら敷金よりも礼金を交渉するべきです。
敷金は結局退去時の費用に充てられる費用となるので、礼金とは違い入居者にとって無駄にはならない費用です。
敷金を外したところで結局、退去の際にその分を支払わなければいけなくなります。
敷金の値引き交渉が全く意味無いとは言いませんが、入居者の金銭的負担はほとんど変わることはないでしょう。
初期費用の割引交渉が最も有効的なのは、
「礼金交渉もしくはフリーレント交渉」です。
礼金は入居者にとっても賃貸契約を結ぶうえでも無駄な費用です。
この無駄な費用を値引きすることができれば入居者の金銭的負担はかなり軽くなります。
また、礼金がない物件の場合はフリーレント(前家賃無料)交渉が良いです。
家賃も礼金と同様に、貸主側の利益になる費用です。
一時的な利益は無くなるものの、入居が決まるならと…
礼金を外してくれたり、前家賃を無料にしてもらえることは決して珍しくありません。
「でもそんな上手に礼金交渉なんてできないよ…」
そんな方も多いと思います。
上手な礼金交渉の仕方については筆者の別サイト記事にて詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にご覧ください。
まとめ
今回は敷金と礼金について詳しく解説をいたしました。
敷金と礼金は「敷金礼金なし」など一括りにされていることも多いですが、全く意味合いが異なるお金です。
今回解説した内容をしっかり把握していただくことで、敷金と礼金の内容でトラブルになってしまったり、損をしてしまうことは無くなるはずです。
また、「敷金礼金なし物件」には初期費用が安くなる分、注意点やデメリットも存在します。
言葉のインパクトに惑わされず、しっかりと契約内容を確認することが重要です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたがより良いお引越しができることを祈っています。