賃貸の初期費用の相場は賃料の5ヶ月~6ヶ月分ほど掛かり、高額になりがちです。
「賃貸の初期費用を少しでも安く抑えたい…」
このような希望をお持ちの方は非常に多いと思います。
賃貸の初期費用を安く抑える方法の一つとしてフリーレントがあります。
また、フリーレントが利用できなくても日割り家賃を調整することで少しでも初期費用を安く抑えることができます。
今回は不動産会社に勤める筆者が、
フリーレントや日割り家賃の調整で初期費用を安く抑えるテクニック
を詳しく解説していきます。
この記事をお読みいただくことで、
- 上手なフリーレント交渉の仕方
- 日割り家賃の調整で初期費用を抑える方法
- フリーレントの詳細
- フリーレントのデメリット
上記の内容についてしっかり理解することができますよ。
フリーレントとは
まずはフリーレントについて詳しく解説をしていきます。
フリーレントとは一定期間の家賃を無料にしてくれるサービスのことです。
一般的にフリーレントが適用されるのは「賃料のみ」であることが多いですが、不動産会社によっては「共益費(管理費)」に対してもフリーレントの対象としている場合もあります。
フリーレント対象物件を選択することで、
一定期間の家賃が無料=初期費用に含まれる前家賃が無料
となりますので、賃貸の初期費用を安く抑えることができます。
フリーレントの期間
基本的に与えられるフリーレントの期間は1ヶ月であることが多いです。
しかし、フリーレントの期間は対象となる物件によってさまざまです。
「半月分フリーレント」という物件もあれば、
「2ヶ月分フリーレント」となる物件もあります。
フリーレント期間が長い物件であればあるほど、賃貸の初期費用を安く抑えることができますね。
なぜフリーレント対象物件があるの?
フリーレントを設定することで初期費用を安くし、入居をしてもらう目的があります。
特に入居がなかなか決まらない物件や、7月・8月などの閑散期にフリーレントが設定されることが多いです。
入居者側にとってフリーレントは非常に大きなメリットとなりますので、初期費用を安く抑えたい方はフリーレント対象物件を中心にお部屋探しをされるのもありでしょう。
フリーレントのデメリット
「フリーレントで初期費用が安くなるのは魅力だけど…」
「フリーレントは何かデメリットはあるの?」
フリーレントは入居者にとって非常に大きなメリットがありますが、反対にデメリットがないか不安に感じる方もいらっしゃるでしょう。
フリーレントは初期費用が安くなるメリットがある反面、下記のデメリットが存在します。
- 人気がない物件である可能性
- 短期解約違約金が発生する可能性
- 賃料等が高めに設定されている可能性
それぞれひとつずつ解説していきます。
人気がない物件である可能性
フリーレントを付けてまで入居をしてもらいたい物件であるということは、
入居がなかなか決まらない不人気物件
である可能性もあります。
フリーレント対象物件に関しては、
「なぜフリーレントが付くのか?」
「入居がなかなか決まらない理由」
などを不動産会社に確認し、その物件が抱えるデメリットの部分もしっかり考慮すべきと言えます。
短期解約違約金が発生する可能性
フリーレント対象で初期費用が安くなっている物件は、
短期解約違約金が発生する可能性があります。
短期解約違約金とは、定められた期間内に退去(解約)してしまった場合に発生する違約金のことです。
短期解約違約金が付く場合は、
「1年未満の解約で家賃1ヶ月分の違約金」
となる物件が多いため、短期間で退去する可能性がある方の場合は短期解約違約金にも注意が必要です。
賃料等が高めに設定されている可能性
初期費用を安くして入居をしやすくし、相場よりも高めの賃料設定にしてその分を回収するという物件も少なからず存在します。
フリーレント付きという言葉に惑わされず、賃料相場などもしっかり確認してお部屋探しをすることが大切です。
上手なフリーレント交渉のテクニック
フリーレントにはいくつかデメリットがあるとはいえ、やはり初期費用を安く抑えられることは非常に大きいです。
「フリーレントが付く物件にしたいけど、希望する物件にはフリーレントが付いていない…」
このような悩みをお持ちの方も多いと思います。
しかし、上手に交渉をすることによってフリーレントを付けて賃貸契約を結べる可能性もあります。
ここでは実際に多くのフリーレント交渉を行ってきた賃貸営業マンの筆者が、上手なフリーレント交渉のテクニックをお伝えしていきます。
入居意思を明確にする
フリーレント交渉を通すうえで最も重要なことは、
「入居意思を明確にする」
ことです。
例えば不動産屋に来店して早々、いきなり「フリーレントの交渉」を持ちかけられても営業マンとしては管理会社やオーナーに交渉の仕様がありません。
物件が決まるかどうかも分からない状況でフリーレント交渉をしたところで、管理会社やオーナーからは「無理です」と即答されるか「決まりそうならまた連絡してよ」と言われるのがオチだからです。
フリーレント交渉を何としても通したいのであれば、
相手方にもメリットを与えてあげることです。
担当の賃貸営業マン=入居申し込みが欲しい
管理会社(オーナー)=空室を埋めたい
それぞれ上記の希望を持っているので、
「フリーレントが付けばこの物件に決めます」
という入居希望者側が入居意思を明確にすることによって、相手方にもフリーレント交渉を通すメリットが生まれます。
管理会社(オーナー)としては今回の入居決定チャンスを逃したら長期で空室となってしまう事が怖いですし、担当の営業マンは「入居申し込みがもらえるなら」と、全力で管理会社(オーナー)にフリーレント交渉をしてくれることでしょう。
具体的なフリーレント交渉例
筆者が熱心にフリーレント交渉をしたいと思えるお客様の交渉の言葉として、一つ例を挙げます。
「いくつか物件を内覧させてもらって、このB物件に決めたいと思っているのですが…
初期費用が思っていたよりも高くて少し検討したい気持ちもあります。
もしフリーレントなどで初期費用が安くなるのならこの物件に決めたいと思うのですがフリーレントの交渉は可能ですか?」
最も重要なことは上記でもお伝えしたように、
「入居意思が明確である」
ことです。
入居意思が明確ではないのに、上記の言葉を並べても担当の営業マンには響かないでしょう。
数件内見して即答が出来なければ一度持ち帰ってじっくり検討し、その後に正式に気持ちが決まってからフリーレント交渉をすべきと言えます。
しっかりと入居意思を明確にし、相手方にもメリットを与えることでフリーレント交渉の成功率はかなり高まるはずです。
フリーレント期間は1ヶ月だけではない
フリーレントの期間は1ヶ月や2ヶ月といった決まりはありません。
半月・2週間・10日・1週間など…
かなり細かく設定することもできます。
例えば9月27日からの契約開始の場合、27日から30日の4日間のフリーレントもアリな訳です。
「1ヶ月のフリーレントは断られてしまいましたが、2週間のフリーレントのOKは出ました」
など…1ヶ月まるまるのフリーレントは厳しくても、短期間のフリーレントのOKが出ることもあります。
このように柔軟に交渉ができる点も、フリーレント交渉の良い点であると言えます。
担当の営業マンと良好な関係を築く
フリーレント交渉に限らずさまざまな交渉事は、入居希望者が直接オーナーへ交渉を行うことはできず、全て仲介不動産会社の営業マンを通して行います。
担当の営業マンと良好な関係を築くことで、担当の営業マンは全力であなたのお部屋探しをサポートしてくれるはずです。
担当の営業マンと良好な関係を築ければ、費用面だけではなくすべての面において有利に賃貸契約を結ぶことができるでしょう。
初期費用を抑える日割り家賃の調整テクニック
最後に、フリーレント交渉が通らなくても日割り家賃を調整することで初期費用を抑えることができるテクニックをお伝えしていきます。
初期費用で支払う前家賃(日割り家賃)は不動産会社によってそれぞれ決まりがあります。
例えば、契約開始月と翌月分の家賃を初期費用で支払う決まりとなっている不動産会社の場合、
★10月1日から契約開始(賃料70,000円)
10月分家賃 | 70,000円 |
11月分家賃 | 70,000円 |
前家賃だけで14万円も初期費用で支払わなければいけなくなります。
このような不動産会社の場合は、契約開始日を月末とすることで初期費用で支払う前家賃を抑えることができます。
仮に10月31日からの契約開始とすると、
★10月31日から契約開始(賃料70,000円)
10月分家賃 | 2,258円 |
11月分家賃 | 70,000円 |
約7万円も初期費用を抑えることができます。
初期費用が安くなったわけではありませんが、まとまったお金を少しでも抑えたい場合には契約開始日を調整することも有効です。
また、不動産会社によって前家賃をどのように支払うかは異なるので、最も前家賃を抑えられる方法を担当の営業マンに確認してもらうのが一番良いでしょう。
まとめ
今回はおもにフリーレントについて詳しく解説をしました。
フリーレントにはデメリットも存在しますが、初期費用を安く抑えたい方にとっては非常に強い味方となります。
また、フリーレント交渉においては、
「入居意思を明確にし、担当の営業マンと良好な関係を築く」
ことで、フリーレント交渉の成功率を大きく高めることができるでしょう。
さらに契約開始日を調整して日割り家賃を抑えることも、初期費用を抑える重要なポイントになります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたがより良いお引越しができることを祈っています。