賃貸物件の中には「更新料」が発生する物件も多いです。
しかし、賃貸の更新料について疑問を多く抱えている方も多いのではないでしょうか?
特に長期で入居を予定されている方にとっては更新料は非常に気になる費用となるでしょう。
そこで今回は賃貸不動産会社に勤める筆者が、賃貸の更新料について詳しく解説をしていきます。
- 賃貸の更新料とは?
- 賃貸の更新料の相場
- 更新料なしの物件
- 賃貸の更新料は払わないといけないの?拒否できる?
- 更新料は分割払い可能?
おもに上記5つのポイントについて詳しく解説をしていきますので、この記事をお読みいただくことで賃貸の更新料についてしっかり理解することができますよ。
賃貸の更新料とは?
賃貸契約では一般的に契約期間が定められています。
賃貸の更新料とは賃貸契約の契約期間を更新する際に支払う費用です。
一般的な賃貸契約では2年間の契約期間となりますので、
賃貸の更新料は2年ごとに支払う費用
となります。
また、賃貸の更新料について平成23年の最高裁では、
「更新料は、一般に、家賃の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有するものと解するのが相当である。」
とされています。
つまり賃貸の更新料は、
- 月額賃料のプラスαとして支払う費用
- 継続してお部屋を借りるお礼金
賃貸の更新料の相場
「賃貸の更新料の相場はいくらくらいなんだろう?」
賃貸の更新料がいくらくらいの金額になるのか疑問を感じている方もいらっしゃると思います。
国土交通省による令和元年度住宅市場動向調査よると、
画像引用元:国土交通省 令和元年度住宅市場動向調査
更新料がある物件のうち、73.7%が賃料の1ヶ月分となっています。
この点からも賃貸の更新料の相場は賃料の1ヶ月分と言えるでしょう。
更新の時に支払う費用は更新料だけではない
賃貸の更新時に注意していただきたいのが、更新時に支払う費用です。
一般的な賃貸契約では2年ごとに下記の費用が発生してきます。
★家賃7.5万円の物件、更新月の支払い具体例
更新料 | 75,000円 |
---|---|
月額家賃 | 75,000円 |
火災保険料 | 20,000円 |
家賃保証会社 | 10,000円 |
24時間サポート | 16,500円 |
合計 | 196,500円 |
毎月支払う家賃も含めると合計で約20万円の金額となります。
2年ごとに支払う費用は物件に対する更新料だけではなく、
- 火災保険料の更新料
- 家賃保証会社の年間更新料
- 24時間サポートの更新料
上記のような費用も発生する物件が多く、更新月では通常月の3倍近い支出となる可能性があります。
「賃貸の更新料が払えない…」
ということにならないように、更新月にはどのくらいの金額が発生するのか事前に確認しておくとよいでしょう。
契約期間の2年未満で解約すると違約金が発生する?
「2年以上住むと更新料が発生するから2年以内に退去しよう」
「だけど契約期間未満で解約しちゃうと違約金が発生しちゃうのかな?」
このような疑問や不安をお持ちになる方もいらっしゃると思います。
基本的には、契約期間未満で物件の解約をしても違約金は発生しません。
しかし物件によっては、
「1年未満の解約で家賃1ヶ月分の違約金」
とする短期解約違約金が特約として付いている賃貸契約もあります。
短期解約違約金は特に、
- 敷金礼金0物件
- フリーレントなど初期費用割引物件
など、初期費用が安い物件に特約として付けられることが多いです。
賃貸物件を更新せずに解約する時は「短期解約違約金」にも注意するようにしましょう。
更新料なしの物件もあるの?
賃貸の更新料は、賃貸契約上必ず必要な費用ではありません。
また、賃貸の更新料は入居者にとっては無駄な費用となってしまいます。
実際に、
「更新料なしの物件に入居したい…」
このような希望をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
結論をお伝えすると、
更新料なしの物件は多く存在します。
再び国土交通省による令和元年度住宅市場動向調査から引用すると、
画像引用元:国土交通省 令和元年度住宅市場動向調査
更新料あり | 40.8% |
更新料なし | 46.5% |
無回答 | 12.6% |
実は更新料がない物件が全体的には多い結果となっています。
賃貸の更新料はエリアによっても大きく異なるようで、
筆者が勤めている関東エリアでは更新料ありが一般的ですが、その他のエリアでは半数以上が更新料がない物件
となるようです。
関東エリアで賃貸物件に住まわれている方や現在お探しをされている方からすると、
「更新料がない物件が一般的となるエリア」
が存在することに少しびっくりするのではないでしょうか。
更新料がない不動産会社
残念ながら関東エリアで物件をお探しされる場合、ほとんどの物件で更新料が発生することになります。
しかし、関東エリアでも不動産会社によっては更新料が発生しない物件もあります。
そんな更新料が発生しない不動産会社をいくつかご紹介します。
大東建託
管理戸数113万戸以上で全国1位。
仲介件数でも全国1位を誇る大手不動産会社です。
そんな大東建託の物件は全て「更新料なし」となります。
「更新料なしで大手不動産会社の物件に入居したい!」
このような方にはおすすめできる不動産会社と言えます。
※2021年7月追記※
しかしながら2021年8月以降の契約者には、2年ごとに11,000円(税込)の更新事務手数料が発生する形となりました。
更新料なしではなくなったものの、相場に比べればまだまだ安い更新料と言えます。
また、その他の大手不動産会社に比べて初期費用が比較的安いことや、初期費用や毎月の家賃などすべての費用をクレジットカードで支払うことができることも大きなメリットです。
UR賃貸
都市再生機構が運営するUR賃貸も「更新料なし」で入居することができます。
民間の不動産会社とは異なるため、初期費用や退去費用も国土交通省のガイドラインに則った費用となり、費用面では最も安心できる賃貸住宅と呼べるでしょう。
ビレッジハウス
ビレッジハウスは旧雇用促進住宅を大量に一括購入し、約10万戸を管理する不動産会社です。
ビレッジハウスは「更新料なし」というメリットだけではなく、
- 敷金なし
- 礼金なし
- 仲介手数料なし
- 保証会社費用なし
- 鍵交換費用なし
- フリーレント1ヶ月
- 引越しサポート割引3万円
上記による初期費用の圧倒的な安さが最大の魅力となっています。
ビレッジハウスなら初期費用を5万円以下に抑えられる物件も多いです。
「初期費用も更新費用も抑えたい!」
このような方はぜひチェックしてみてください。
更新料なし物件のデメリット
「更新料がないのはいいけど…何かデメリットはないの?」
更新料がないことで反対に不安になられる方もいらっしゃるかもしれません。
更新料なし物件のデメリットとして考えられる点は、
- 家賃が相場よりも高く設定されている可能性がある
- 初期費用が相場よりも高く設定されている可能性がある
上記の2点が考えられます。
冒頭でも少しご説明したとおり賃貸の更新料は、
- 月額賃料のプラスαとして支払う費用
- 継続してお部屋を借りるお礼金
としての費用となります。
そのため更新料が発生しない分を家賃へ上乗せしていたり、初期費用の礼金として上乗せしている物件も少なからずあるでしょう。
上記のデメリットに注意しながら、上手に更新料なしの物件を選択していただければ幸いです。
賃貸の更新料は払わないといけないの?拒否できる?
「賃貸の更新料はどうしても払わなきゃいけないの?」
「更新料は拒否できる?」
何とかして更新料の支払いを拒否したい方も中にはいらっしゃるかもしれません。
この点について国土交通省では下記のように記されています。
既に締結されている賃貸借契約に、支払う旨の規定がある場合は支払わなければならないと考えられます。
更新料は、法令上の義務ではありませんが、慣行として存在する地域もあり、それを契約書で規定している場合は原則有効なものとして扱われます。
更新料については、最高裁の判断も示されています。
参考判例 → 平成23年7月15日 最高裁判例(概要)
賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法第10条により無効ということはできないとされる。
最高裁の判例を参考とし、更新料は支払わなければならない費用としています。
しかしながら、
- 契約書に更新料について具体的に示されていない
- 更新料の金額があまりにも高額すぎる
など、特定の条件に当てはまれば更新料の支払いを拒否できる可能性も少なからずあります。
とはいえ、そのような不当な更新料を請求する不動産会社がこのご時世で存在するとは考え難く、実際には更新料の支払いを拒否することはかなり厳しいと言えるでしょう。
賃貸の更新料は分割払いできる?
賃貸の更新料を分割で支払いたい方もいらっしゃると思います。
しかし、更新料を分割で支払える不動産会社は残念ながらありません。
ただ、更新料をクレジットカード払いにできる不動産会社であれば、クレジットカードを通して分割払いできる可能性があります。
賃貸の更新料を分割で支払いたい方は、物件を管理する不動産会社にクレジットカード払いが可能であるか確認してみると良いでしょう。
まとめ
今回は賃貸の更新料について詳しく解説をいたしました。
賃貸の更新料は初期費用の礼金と同じような意味合いのお金となり、入居者にとって無駄な費用となります。
また、更新料は2年ごとに支払う費用となるので、長期入居を予定されている方は特に更新料にも気を付けながらお部屋探しを行うと良いでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
あなたがより良いお引越しができることを祈っています。